二十八日目



直島に行ってきた。

香川県にある小さい島だ。

少し前までは金属精錬所や産業廃棄物処理施設しかなかった離島だ。

それが、アートの島として生まれ変わった。

2016年には瀬戸内国際芸術祭が開かれたこともあり、

芸術の島として話題になったのを覚えている人もいるかもしれない。

興味があったので会期中に行ければよかったけれど、
残念ながらその期間は日程の都合がつかなかった。

だからちょっと行ってきた。

エロゲ制作者は
芸術にも精通していなければいけないのである。



岡山から宇野港まで電車を使い、そこからはフェリーでアクセスする。

港からはバスが出ているので、今回はバスでの移動となる。

小さな島なので、レンタルサイクルを使って移動することもできる。



直島には大きな美術館が三つある。

一つは地中美術館、

もう一つは李禹煥(リ・ウファン)美術館、

もうひとつがベネッセハウスミュージアムである。



どれも人気だが、個人的に興味があったのは地中美術館だ。

瀬戸内の景観を活かすように建てられた、
この建物全体が一つのアートと言える。

睡蓮で知られるクロード・モネの作品を間近で見られるというのは大きな魅力だ。

展示されている他の作品も、ここでしか見ることができない、というより、

ここでしか体験できない作品であるというのが興味を惹かれる。



他にも、島の古民家を利用して、それを芸術作品として生まれ変わらせた、

「家プロジェクト」というものがあり、島に点在するそれらの作品を鑑賞することができる。



旅の一日目は岡山で宿を取った。

さて、ホテルで宿泊したら楽しみと言えば一つである。

食事?いや違う。

それも重要だが、そうではない。

おわかりだろう、

そう、有料放送である。

つまり、アダルトコンテンツである。

チェックインして荷物を部屋に置き、

食事を済ませに外へ出る。

この時、まだチャンネルをチェックしてはいけない。

何が映るか、まだ知らない、そのワクワク感、

そういったところに、一期一会の旅の出会い、

旅情があるのである。



腹ごしらえを済ませ、フロントで部屋の鍵を受け取る。

エレベータに乗って、自分の部屋の階のボタンを押す。

同乗者はいない。

満腹感による心地よい眠気を感じ、壁に肩を預ける。

ほどなくして、エレベーターは止まる。

降りると、そばにカードの自販機がある。

何食わぬ顔で千円札を入れ、しわくちゃの札と引き換えにカードを受け取った。

部屋に入ったらコートを脱いで、仰向けにベッドに倒れこむ。

天井の明かりがまぶしくて、腕で遮る。

いっそ風呂に入ってこのまま寝てしまおうか、とも思う。


だが、と思い直す。

寝転がったまま腕を伸ばし、リモコンを掴んでテレビの電源を入れる。

名前も知らない芸人たちが、面白くもないクイズの答えに笑っている。

チャンネルを変えてみても、大して変わらない。

起き上がって、有料放送へ切り替える。

映画とアダルトコンテンツが視聴できる。

指定された番号を入力すれば、あとは自由だ。

ふと、机の上においてあるチラシを見る。

それはアダルトコンテンツの番組表だった。

放送元が発行しているのだろう。

いくらかの刺激的な番組が並んでいて、

その中に宣伝文句が書かれている。

少しうろ覚えになってしまったが、



秋の夜

 女体の実り

  いとをかし



というような感じの強烈な五七五があった。

おかしいのはお前の頭だ。

自分もこのような言葉のセンスを磨いていきたいと思った。

私は風呂へ入ったのち、少しの間「運動」をし、翌日に備えるのだった。



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