静岡に行ってきた。
静岡を訪れる用事といえばもちろん、
そう、静岡名物イルカ肉を食べるためである。
イルカ肉とは、
環境テロリストがそれを知ったら顔面レッドホットチリペッパー必須のイロモノ食材。
それが静岡で食べられるのである。
いやが応にも期待が高鳴るではないか。
交流のある新都社作家たちと静岡駅で待ち合わせる。
集合時間は午後五時三十分。
五時過ぎには到着の報告があり、
五時十五分にはもう私以外全員揃っていた。
そのころ私は駅から徒歩五分程度の静岡市立美術館で、
ソファーに寝転がりながら、
今回の展示であるアルバレス・ブラボ写真展のカタログを読みふけっていた。
大した知名度もない作家なのか人もまばらで、
ソファーで休憩する人間は私以外にいない。
寝転がってカタログを読んでいる馬鹿も、私以外にはいない。
五時ニ十分頃には読み終わり、館内の売店を適当にひやかして外に出る。
疲れたので、傍のコーヒーショップでコーヒーを注文する。
時刻は五時二十五分。まだ慌てる時間ではない。
スマートフォンを取り出し、コーヒーカップ片手にツイッターへ書き込む。
「今から家出るわ」
電話がかかってきた。
無事合流を果たし、件の居酒屋へ赴く。
一見何の変哲もなさそうな居酒屋だが、
表にイルカ肉がメニューとして張り出されている。
店に入り、他の品も見回すと、
静岡名物の黒はんぺんやかき揚げといったものの他に、
クジラベーコンやドジョウの鍋があった。
まずは刺身などの盛り合わせなどを注文し、
その後、これらの品も追加で注文した。
イルカ肉はみそ煮やスペアリブといったほかに、
酢で調理したものなど、いくつかのヴァリエーションがあるようだ。
いきなり全種類頼むのはなんとなくアレなので、
みそ煮を注文する運びとなった。
刺身を食べ始めてしばらくすると、
店員のおっさんがイルカのみそ煮を持ってきたので、
いざ実食。
やれやれ、このイルカの煮つけは出来損ないだ。食べられないよ。
また明日この時間に来てください。
本物のイルカのみそ煮ってやつを食べさせてあげますよ。
さて、冗談はおいておいて、
味は臭みの少ないレバーといった感じ。
みそで煮ているのが肉の臭みを取り、
ささ身を思わせる、あっさりした印象の触感である。
肉質の部分と、皮に近い部位があって、
皮は煮汁の味を吸って、そのプリプリした歯ごたえと相まって、うまい。
クジラベーコンはクジラのベーコンだった。
ドジョウ鍋は、一口サイズのドジョウが入った、一人用の小鍋である。
卵とじで、ほんのり甘みのある出汁の味がよくしみていて、これもおいしかった。
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