八十八日目

今日、妖怪惑星が死んだ。


これから話す内容は、
笑いながら書きたかった。
今みたいに泣きながら書きたくはなかった。
笑い話にするつもりだったから。


妖怪惑星の事を知ったのは、
珍ポンデリングという奇抜な名前が
ツイッターの投票でゲームキャラクタの名前に
正式採用されたという話題が流れてきたことだった。
その時は、その顛末にひとしきり笑って、
しばらくは気になっていたが、やがて忘れてしまった。


それから月日が流れて、
再び妖怪惑星の話題が流れてきた。
ゲームのテスターたちのメールアドレスを流出させた事件だ。
そのことで、妖怪惑星がベータテストをしている事を知った。
すぐに公開されていたアドレスに連絡を取ると、
テスターとして参加させてくれるとのこと。


プレイしてみて、脳が焼き切れるような強烈な体験をした。
バナナと鮭の切り身とコンクリートブロックと豆腐を
まとめて顔にぶつけられたような感じといえば分かってもらえるだろうか。
ひとしきり遊んで、
よかった点と改善点をまとめてメールした。


私は最初、ただのβテスターだった。
メールする際、
もう一つだけ気になっていた点についても問い合わせた。
どんなストーリーなのか、と。
もちろん、その時点で公開されていたトレーラーはあった。
その中に、簡単なあらすじもあった


3017年に惑星クラリスの住人は化け物になってしまった
・不思議な力に目覚めた
・「昔から封印されていた悪軍団」が目覚めたので悪軍団と戦って平和を取り戻してほしいらしい




問い合わせたのは、
物語を書く人間として、
これがどういう風に展開してゆくか、
単純に興味があったからだ。


返事が来た。
ストーリーは無いらしい。
正気か?
もちろん、ストーリーがなくたって、
面白いゲームはある。
スーパーマリオ然り、テトリス然り。
だけれど、しょっぱなからそれらと張り合うのは
いくらなんでも無謀すぎないかと思った。
ましてや、ソーシャルゲームである。
課金してもらうためには、
キャラクタたちの魅力は不可欠である。
キャラクタの魅力を伝えるためには、
そこに物語が不可欠なのである。


>「以前シナリオを書きましたが、
>名前をTwitterで募集してから、難しく感じるようになりました」


とも書かれていた。
あっ(察し)。
ちょっとだけ納得した。
だが、実際のところ
ひどい名前なんかどうにでもなるのである。
クソみたいな名前も、奇抜なビジュアルも、
すべて技術でカバーできる。
シナリオの提案があれば嬉しいとの事なので、
既に公開されていた設定を元に世界観を膨らませて、
二通りのあらすじと、最初のクエストのテキストを
ささっと書いてその日のうちに送った。


アンケートを取って決めたいとのこと。
開発チームで意見を聞くのだろうと思っていた。
そしたら
Twitterで世界観の投票をしてた。


まてやwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
何してるんだと思うと同時に、
笑いが込み上げてきた。
本当にイカレてやがる、と。
いくらなんでも世界観を投票で決めるとかロックすぎる。
自分にはもう一つの案も面白くする自信があって、
運営の意見を聞きながらリライトするつもりのあらすじだったから、
そっちの世界ももう少し時間をかけて書いておけばよかったと、

今更ながらちょっとだけ後悔しているのだ。

2 件のコメント:

  1. 手をパージして足でクラリスのシナリオを書く妖怪

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  2. 惑星クラリス住人です
    課金してストーリー読んでました
    すごく続きを楽しみにしていたので本当に残念です
    可能であればまたどこかで続きが読みたいです

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