121日目

アヴェンジャーズ エンドゲーム
この映画の話題が、頻繁に耳に入ってくる。
観た人間がことごとく固く口を閉ざし、
「ネタバレになるから言えない……
だが、素晴らしかった」
そう語るのだ。
誰一人として例外はない。
観たい。ものすごく観たい。
誰一人としてネタバレの為に口を開かない。
皆で示し合わせて私を騙そうとしているのか?と疑うほどだ。
これはSCPのようなミームじみた怪現象だと誰かが言ったのなら、私はそう信じただろう。

エンドゲーム、それほど素晴らしい映画なのか。
観たい。観てみたい。
流行になびくミーハー野郎となじられようと、
ここまで話題になっていては、気になるではないか。
逆にここまで話題になっているものを見ないのは、
流行に対して斜に構える老害の第一歩なのだ、と自分に言い訳をし、
私は映画館へ足を運ぶことに決めたのだった。

上映時間をネットで調べながら私は考える。
観に行くのは良い、流行っているからな。
だが問題が一つある。
私はアヴェンジャーズのシリーズを
観たことが無いのである。
はっきり言って、まったく知らない。
だがバカにしないでいただきたい。
アメコミキャラクターの名前くらいは、何人か知っているさ。
スパイダーマン、ハルク……あとは………あと……何とかマン。
私は、彼らがこのシリーズで何と戦い、何を成し遂げたのかを知らない。
だけれど、私はエンドゲームを観に行くのだ。

アヴェンジャーズエンドゲームは、このシリーズの集大成だ(たぶん)
はっきり言って、100%楽しむならば、過去作を鑑賞するべきなのだろう。
だが、そんなことは関係ない。
私はこの映画が観てみたいと思ったから観に行くのだ。
知らないキャラクターが出てくることくらいは覚悟の上である。

劇場のカウンターで飲み物を買い、席へ座る。
何本か新作映画の宣伝が流れ、やがて室内は暗転する。
そして、しばらくして映像が流れ始める……。
なんの予備知識もないままの続編映画鑑賞が幕を開ける。

さて、「映画の舞台は○○に始まり~」、なんてやりたいところだが、
困ったことに、そこに触れただけでもうネタバレになってしまう。
それも、深刻なネタバレに、だ。
鑑賞した連中は正しい。
本当に、何も言うことが出来ないのである。
緻密に練られたシナリオだ……。

何に触れても
これから鑑賞する人間の楽しみを著しく損なう。
冗談抜きで。
先に見た人間が、
クラピカの顔で「答えは沈黙」と言っている姿が目に浮かぶ。
そして私もその一人だ。
このシナリオ……芸術品と表現するにふさわしい。
いつからだ?
一体……一体いつから
この物語を描いていた……?
美しいストーリーラインだ。
人物の葛藤、描写も完璧だ。
こんな物語は不可能だろ。
矛盾してるよ。
現実的じゃない。
だってあまりにも……あまりにも完璧すぎる。

アヴェンジャーズ、エンドゲームは、
私にとって、知らないヒーローたちの物語だ。
思い入れもないような登場人物がわんさか出てくるような物語。
そんな映画で、心が動かされるだろうか?
答えはイエスだ。
登場人物の9割以上が知らない人物でも、
彼らが何を成し遂げてきたか知らなくても、
メチャクチャ有名なヒーローの名前が出てこなくて
「何とかマン」としか言えないような人間がこの映画を観ても、
間違いなく、心動かされる。
私が保証しよう。
過去作?
観た方がいいよ。確かにな。
だが、過去作なんか観るのが面倒だけど気になるのなら、
さっさと観に行け。
この映画は面白い。
無茶苦茶面白かった。
いま観るべき映画だった。
どんな映画だって?
ネタバレになるから言えない……
だが、素晴らしかった。

それだけは確かだ。

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