137日目 スマホアプリを公開したら大赤字だった話

ノベルゲームを公開してから一年ほど経ったので、
一旦中間報告としてまとめよう。



■大赤字だったアプリ開発


まず、スマホアプリ版について。
簡単なまとめ。

製作期間:三ヶ月くらい(一人で作ってた)
制作費用:一万ちょっと(ストアへのアプリ登録料は別)
基本無料、広告あり。
GooglePlay急上昇ランク#1達成
評価平均:約4.5
ダウンロード数(Android iOS合計):約10002000
総売り上げ:六千円ちょっと

はっきり言って、
スマホアプリ版は大失敗だった。
遊んでくれた人間の感想は非常に好評ではあったものの、
それが収益や継続的なユーザ獲得に結び付かなかった。
ゲームの世界観は悪くはなかったが、
収益モデルや、ゲームデザインの面で、
自分の力量不足が
ゲームの足を引っ張った形になる。

このアプリは無料公開し、
広告で利益をあげる収益モデルだった。
一定量読み進めると30秒程度の広告が流れ、
それを視聴したりクリックする事で収益を得る。
この広告を効果的に利用することが出来なかった。

広告を消す有料版などを作成したり、
もっとゲームの世界観に合わせて
アプリをSNSでシェアするような仕組みが必要だった。
もちろん制作する中でその事は承知していたけれど、
なにせ私はゴミ以下のプログラミング能力しか
持ち合わせていないのである。
実装しようと思ったが途中で挫折してしまったのだ。
これが良くなかった。
お金の為に、もっと貪欲になるべきだったのである。
結果、平均評価約4.5という高いプレイヤの満足度とは裏腹に、
千~二千ものプレイヤから
たった六千円しか巻き上げることが出来なかったのである。

自分の書いた物語を読んでもらいたいという
純粋な気持ちで作り上げたゲームであったが、
私は金に汚い人間。
お金はお金で欲しいのである。
アプリ公開により一獲千金を目論んでいたのだが、
これはあえなく失敗に終わってしまった。
読者の裾野が広がったのをよしとするしかない。

六千円の売り上げの為に二~三万円をかけているようでは駄目だ。
私は慈善事業をしたいわけではなく、
お金儲けがしたいのである。


ちなみにBoothで試しにPC版を有料で売ってみた所、
二千円の価格で十本売れたので、
二万円になった。
もうスマホでやる意味ないのでは?と思った。



■PC版への移行


スマホアプリはストアへのアプリ登録料が高いし、
管理が面倒くさいのでPC版の有料販売のみに一元化する事にした。
スマホアプリを有料で継続して登録する事も考えたが、
そうするとPC版との価格整合性が取れないので、
これはやめることにした。
人間がスマホのアプリに払う気になる値段は、
せいぜい百円から、高くて五百円程度だ。
どうせ売るなら高く売りたい。
PCゲームユーザーはもっと財布の紐がゆるいので、
せっかく高いお金を出して買ってくれる層を
ないがしろにする気にはなれなかった。



■Steamで公開するにあたってやったこと

まず、同じようなゲームの価格を調査した。
Va11-HallACoffee TalkGrisなどの
世界観や雰囲気を評価されているゲームについているタグや、
値段を詳しく調べた。
あまりターゲット層の手が届く価格帯から乖離すると、
需要が減ってしまうから、それは避けねばいけない。

PC版では類似するゲームと同程度に設定した。
もっとゲーム性の高い作品と比べると
やや割高ではあるような気もするが、
とりあえず高めに設定しておけば
セールの時の利幅も大きくなるので、
余りにもおかしな値付けでなければ問題ないと判断した。

Steamではキュレーターというレビュアーに
Steamを通じてゲームを贈ることが出来るため、
結構な数のアクティベーションキーを贈ってみた。
何件か反応があり、そのうちの一人である日本語圏のキュレーターから、
プレイした感想をストア上のレビューで頂いた。
丁寧に遊んだうえで気に入ってもらえた事がわかる評価だったので、
とても嬉しかった。
ストアページを見た人間にも内容が伝わるものだったので、
売り上げに非常に貢献している部分だと思う。
この場を借りて感謝したい。

千五百円弱で販売して、
リリース直後のセールで15%くらいの値引き。
ちょこちょこ売れて一万二千円くらいの利益。
Steamにゲームを登録するためにかかったデポジットの一万円が
たしか一万円くらい売れると返ってきたはずなので、
一応黒字だ。
エンディングを書き足すついでの手間としては、
小遣い程度にはなったか。

それからしばらく放置して、
ゴールデンウィークにSteamからセールの知らせがあったので、
試しに八割引きで売ってみたら、
百四十本くらい売れて、
四万円とちょっとの利益が出た。
やっぱスマホで売る意味ないなと思った。
これなら美味しい焼き肉くらいは食べに行けそうだ。
次のセール価格を考えるのが楽しみだ。


■総括

掛かった費用
製作期間:約3か月
ゲーム制作の有料Asset:約10,000
アプリ登録料:約14,600(Googleplay2800円・Applestore11800円 アップルはクソ)
Steam預託金:10,000円(返ってくる条件達成した)
Steam版への移植:三日くらい

利益
スマホ版:-8,600円
PC版:80,000



必ずしもスマホアプリ自体が儲からない訳ではないと思うが、
今回は自分の力不足で大赤字になってしまった。
しかしプラットフォームを変えることで、
とりあえず開発に付随した費用が回収できる程度には
いくらか利益が出るようになった。
とはいえ制作にかけた時間分が回収できたかというと、
そうではない。

しばらくSteam版の様子を見て、
必要であれば適宜アップデートしてこちらの売り上げをケアしてゆきたい。
頑張ってもっと美味しい焼き肉を食べたいから。

いつか叙々苑に行ける日がくるとよいのだが。


 Steam版ノベルゲーム「退廃思考」リンク
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