五十八日目


化女沼レジャーランドを廃墟テーマパークにするクラウドファンディングが頓挫したらしい。
この施設、化女沼レジャーランドは、日本で数少ない「合法廃墟」だ。
合法廃墟という誤解を与えてしまうかもしれないが、
勝手に入ればもちろん違法行為であり、
ポリスメンに連行されてしまう事になる。
合法廃墟だと言ったのには訳があって、
権利者の許可を得た廃墟ツアー不定期で催されており、
それに申し込めば合法的に見学ができる。
これが「合法廃墟」たる理由である。
世界遺産となった端島、通称軍艦島と同じく、
法を犯さずに堂々と訪れることができる貴重な廃墟だったのである。


そして、少し前、この化女沼レジャーランドを、
廃墟テーマパークとして生まれ変わらせようという計画が立ち上がった。
それが冒頭で挙げたクラウドファンディングのプロジェクトである。
非常に興味深い試みであるため、
その関係者をTwitterでフォローし細々とウォッチングを続けていたのだが、
近頃急に雲行きが怪しくなり、
つい先日、その計画を断念せざるを得なくなったという発表があった。
個人的にも期待していただけに残念である。


かつてはその地域を賑わす施設であり、
時代の移り変わりによってその幕を閉じたとはいえ、
権利者や、レジャーランドの関係者たちが今も時折施設内を掃除しているという。
関わった人々に愛された施設なのだ。
現在は廃墟として注目され、
権利者の理解の下、
廃墟ツアーが組まれて、
全盛期とは違った形ではあるが、愛され続けていた。


しかしこうして楽しめる期間は、
もうほとんど残っていない。
このクラウドファンディングの中止に伴い、
合法廃墟として存在できなくなるらしいのだ。
今後、廃墟ツアーが開催される可能性は絶望的だろう。
プロジェクト中止の経緯や今後の詳細は不明だが、
化女沼レジャーランドを訪れる最後の機会が非公式ながら告知されている。
この日が現在分かっている最後のチャンスであり、
この日を境に、この化女沼レジャーランドは合法廃墟ではなくなる。
堂々とこの廃墟へ行くことは二度とできなくなる。
もしかしたら、解体されて、
行くことはもちろん、地図上からも永遠に消えてしまうかもしれない。
そんな儚い場所。
それが今の化女沼レジャーランド。
解体されて、新しく生まれ変わるのであれば、
それは祝福すべき事かもしれない。
だけれど、廃墟としてではあるけれど、
人々に愛された場所が消えてしまうという事に、
一抹のさみしさも感じずにはいられないだ。
興味があれば、この最後の日に訪れてみるのも一興だろう。












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