160日目 強行軍

 

みなさんは、手を付けてはいけないお金で

ギャンブルに興じた事はあるだろうか?

私は、ある。

 

少し前、投機資金を全てを失ってしまった(半年ぶり二回目)私は、

大至急資金繰りをする必要に駆られていた。

このゲームを完成間際で放置して遊びながら過ごしていたが、

突然このプロジェクトを完成させる事が急務となってしまったのだった。

 

幸い、残りの工程は少しだ。

イベントCGの作成、音源の選定とボイス設定、シナリオの精査、主にこの四つだ。

ここまで進めておいた過去の自分に感謝しつつ、作業を進めることにした。

 

今回はあらかじめ制作した3Dモデルを使ってシーンを制作する。

期間が空いているので、制作に使うツールの動かし方は、

私なので当然すべて忘れている。

少し触ったところで何をすべきか思い出し始めた。

3Dモデルのポージングも、カメラの構図もすでに出力されて、

全てを忘れた自分の為に分かりやすい名前で保存されていた。

あとは自分が手を動かすだけの所まで作業が進められている。

ありがとう、過去の私。

 

なんならこれからの作業も、

終わらせておいて

くれて良かったのだけれど?

 

表情と角度を吟味しながら、

満足のゆく出来の物をそれぞれシーンごとに分類していった。

微調整を繰り返しながら、

使わなかったものも合わせて全部で400枚ほどのCGを出力しただろうか。

背景と合わせて、エフェクトを足して、

スライムやらが足りなければ私がお絵描きして完成。

書くと簡単そうに見えるが、

何日も何日も睡眠時間を削りながら、

意識朦朧としながら終わらせた。

 

音源は以前セール時に買っておいた素材集から選定した。

一年ほどHDDの肥やしになっていたが、

陽の目を見る日が来てよかった。

BGMは良質なものがあったので、新たに買い足す必要はない。

SEに関しても同じだったので、これは嬉しい誤算だ。

まぁ素材が不足していたら、

新しく買うのも面倒なので、

シナリオや表現を削るだけだ。

なに、ちょっとゲームが貧弱になるだけの事だ。

平気平気。

 

ボイスに関しては購入済みの素材も色々確認したが、

どうしても納得いかなかったので市場調査。

ちょうどいい規模とクオリティの物があったので購入。

たまたまセールで安くなっていてよかった。

 

シナリオの内容を確かめて、

演出を再生しながらボイスを設定する。

この過程でバグ取りも並行する。

再生されないシナリオや演出があったり、

思いのほかミスがあったので、気づけて良かった。

 

ここまでの作業で、

私が作業再開した際に想定した時間の約三倍ほどかかってしまった。

私は死んだ眼をしながら作業を続けていた。

やる事リストの内容が全て消化されて、全てから解放されたときは、

私はまだそれを信じられずに開発が終わったゲームを何度か再生したりしていた。

 

新しいバグも見つからず、あとはビルドするだけになった時、

私はしばらく放心状態で画面を見つめていた。

肩に掛かっていた重みが、フッと軽くなったのを覚えている。

 

先ほど、販売サイトへの申請を二つ済ませたところだ。

Steamは設定やらが面倒くさいのでちょっと後回しにするとしよう。

さらば死んだ眼をしたまま

作業を続けた日々よ。

苦しくも、充実した日々だった。

今日は安眠できそうだ。

 



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